ディス・イズ・ノンフィクション

「成果は出るが人が壊れる」職場の病巣。見えないパワハラを暴く 〜仮面を剥がす〜

仮面を剥がす

営業部長の二面性

営業部長の二面性は、すでに社員の証言と数字の偏りから輪郭を帯びていた。
しかし、佐野はそこに決定的な分析を加える必要を感じていた。
主観や噂だけでは、経営層を動かすには力不足だからだ。

佐野はしえんグループの心理分析チームを現場に呼び込んだ。
臨床心理士を含む数名の専門家たちが、
従業員への追加面談や部長の言動パターンの解析に着手する。
彼らのアプローチは静かで丁寧だが、
社員の声を拾い上げていくにつれ、部長の内面が徐々に浮かび上がってきた。

「表面的には社交的で柔和。しかし、内的には極端な成果主義。
成功者には無条件の賞賛を与え、失敗者には自己否定を強いる傾向があります」

心理分析の報告は、佐野の直感を裏付けていた。
部長は公然と怒鳴ることも、露骨に差別的な言葉を使うこともない。

ディス・イズ・ノンフィクション-シーズン4-エピソード4【「成果は出るが人が壊れる」職場の病巣。見えないパワハラを暴く 〜仮面を剥がす〜】会議の場で繰り返される“間接的な排除”。

だが、会議の場で繰り返される間接的な排除

「次は頼むよ」「ここまで来て出来ないのか」笑顔の裏に潜ませた言葉が、
社員を深く傷つけ、やがて心を追い詰めていった。

心理士は、部下たちの証言を整理しながら静かに言った。
「これは典型的な表裏型ハラスメントです。
外部からは理想的なリーダーに見える一方、内側では恐怖と緊張が常態化している」

報告を受けた経営層の顔に、衝撃の色が広がった。
これまで信頼の象徴だと信じて疑わなかった人物の、もう一つの姿。
それは、会社が長年見落としてきた盲点でもあった。

佐野は静かに告げた。
「成果だけで人を測る時代は終わっています。
人を活かす組織づくりを怠れば、どれほどの契約を取ろうと、やがて崩れます」

会社は動いた。
営業部長を一時的に職務から外し、
心理的安全性を確保するための全社的な再教育プログラムを開始。
心理分析チームは定期的に社員面談を行い、再発防止の仕組みを整備していった。

時間はかかったが、重苦しい沈黙に覆われていた職場に、少しずつ変化が訪れた。
社員が自由に意見を口にし、失敗しても責められない空気が戻りつつあった。

佐野はその光景を見つめながら、胸の奥で静かに思った。
──組織を立て直すとは、人材を選別することではない。

 本当に信用に値する人物を見極め、誰もが力を発揮できる場を整えることなのだ。

かつては成果と引き換えに人を失ってきた会社が、いまようやく、人を守るための歩みを始めていた。

表面的な数字だけでは見抜けない巧妙なハラスメントや、
組織風土の問題。 私たちしえんグループは、
客観的な労務監査と専門的な心理分析を組み合わせ、
まだ見えぬリスクの芽を摘み取ります。

人を守り、組織を育てる。健全な職場づくりのパートナーとして、
ぜひ私たちにお声がけください




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